Smiley face
写真・図版
パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで2025年3月18日、病院に運び込まれるイスラエル軍による空爆の犠牲者=AP
  • 写真・図版

 イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザで大規模な攻撃を再開した。1月19日に発効したイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意は、恒久的な停戦に至らず、崩壊の危機にある。イスラエルは、なぜこのタイミングでの攻撃再開を決めたのか。

 イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスが人質解放を拒否し、すべての停戦提案を拒んでいるため、強力な行動を取るように指示したと述べた。

  • イスラエル軍、ガザで大規模攻撃 200人超が死亡との報道も

 両者の停戦合意は、当初から「薄氷の合意」とされてきた。イスラエルとハマスは、合意の第1段階として、ガザに拉致された人質とイスラエルが拘束しているパレスチナ人の交換を進めることでは一致した。

「停戦合意」の背景にあった両者の隔たりとは

 ただ、イスラエル軍のガザからの撤退や恒久的な停戦合意を含む第2段階への移行については意見の隔たりが大きく、具体的な議論が進まない状況に陥っていた。

 第1段階は3月1日に期限が終了した。米国は第1段階を4月20日ごろまで延長し、その間に、ハマスが残る人質の半分を解放することなどを求める案を提示した。

 イスラエルは米国の提案を受け入れたと発表した。ガザからの完全撤退などを含む第2段階に進むことなく、ハマス側から多くの人質を解放したいという思惑があった。

 しかし、イスラエル軍に戦闘力の大部分を破壊されたハマスにとって、人質は残された唯一の交渉の「カード」だ。第1段階をこのまま続けてさらに人質解放をするのは、ハマスには受け入れがたい提案だ。

 あくまで第2段階へ進むことを求めるハマスに対してイスラエル側はガザへの支援物資の搬入を止めた。

 米側はさらに、人質解放の引き換えとしてイスラエルに拘束されているパレスチナ人の釈放を提案したが、ハマスはこの案の受け入れにも難色を示した。

 トランプ米大統領はハマスに対して再三、全人質を解放しなければ「地獄が訪れる」などと威嚇してきた。ウィトコフ中東担当特使は14日の声明で、ハマス側が「表向きは柔軟性を主張しながら、陰では非現実的な要求を突きつけてきた」と非難し、「期限が過ぎれば我々はそれ相応の対応を取る」と警告していた。

 イスラエル首相府は18日の声明で、攻撃に踏み切った理由について、「ハマスはウィトコフ氏らの申し出を全て拒否した」と主張した。

■ハマス イスラエル 両者が…

共有